
忙しい毎日の中で「美容室に行く時間がない」「手軽にカラーチェンジしたい」という方 方々の味方、“セルフカラー”
みなさんはセルフカラーの経験はありますでしょうか? お家で気軽にできて、便利なセルフカラーですが、ムラになったり想像していた色と違っていたりと、思った通りにならなかった経験をお持ちの方も多いはず(>_<)
そんな方々に、今回は、プロの美容師として、セルフカラーでよくある失敗例と対策、そして美容室でのカラーとの違いについて詳しく解説していきます。
セルフカラーでも、ポイントを押さえればサロン顔負けの素敵な仕上がりを目指せちゃいます♪
セルフカラーと美容室カラーの違い

薬剤の違い
〔 セルフカラー剤 〕
- 一般的な髪質を想定した標準的な配合
ハイダメージ部分など、複雑履歴の髪に適している配合ではない - パワーが強い
一見良く聞こえるが、髪や頭皮へのダメージが大きい
誰でも簡単に染められるような設計のため、薬剤の力が強め - 色味やトーンの幅が狭い
〔 美容室カラー剤 〕
- 髪質や希望色に応じてプロが薬剤を調合
お客様それぞれのベースの色味に合わせてカラーを配合 - 幅広い色彩表現が可能
- ダメージレベルに応じた細やかな調整
部分により、薬剤のトーン設定や配合を調節できる
塗布技術の違い
〔 セルフカラーの場合 〕
- 塗布量にムラができやすい
特に自分では見えない後頭部の塗り残しが起きやすい - 塗り分けがしにくい
根元から毛先まで同じタイミングでドバっと塗布してしまいがち
美容師がきれいに染めるために考えて調整している部分が分からない
〔 美容室の場合 〕
- 塗りムラなく均一な塗布が可能
- 髪の部位別に塗布順序や放置時間を調整してくれる
ダメージレベルや髪質を考慮してお客様に合わせた施術
つまり!
美容室で染めるカラーの方が良いのは大前提として、
セルフカラーは、部分によってカラー剤を変えにくい分、ただ塗るだけではなく、自分の髪の履歴やダメージレベル、髪質を理解して、考えて塗ることが重要!
セルフカラーでよくある失敗例と対策
色ムラ
対策:十分な薬剤量と均一な塗布
後頭部も意識的にしっかり確認することが大事。
どばっと一気に全体を塗るのではなく、ブロック分けして順番に丁寧に塗布。
(最低でも左右上下で8ブロックが理想)

カラーは髪の中間部分に一番カラーが入りにくいので、中間の揉みこみを大切に。
揉みこむだけでなく目の粗いコームで全体をとかして塗布ムラを防ぐ。

部分的に明るくなりすぎる
対策:明るくなりやすい部分を理解する
基本的に明るくなりやすい部分は根元と顔まわり!
カラーは温かいと明るくなりやすいため、地肌に近い根元の方は体温の温かさがあるので、明るくなりやすい。
顔まわりは全体の中で毛が細めで薄い可能性があり、そのような毛質も明るくなりやすいので注意。

明るめのカラー剤を使う場合は、最初は根本には塗らず、中間〜毛先に塗布して10分ほど置き、そこから根元を攻めると、全体が均一になりやすい。
予想と違う色に仕上がる
対策:
・ベース色を理解する
元の髪色によって仕上がりが大きく変わるので、自分の現状の色味を把握することが大切。
・色相環を意識
美容師はこの色相環を考えてカラーを配合しているので、セルフカラーも自分のベースの色味となりたい色味を考え上で、色相環を意識しつつカラー剤選ぶことが大切。
たとえば赤みを消したかったら、反対色の緑みを入れると赤みを打ち消してくれやすく(画像:例①)、黄みを消したかったら、反対色の紫みを入れると黄みを打ち消してくれやすい。(画像:例②)

よくある、アッシュ系を入れたら少し緑ぽくなった、という失敗は、髪が明るめの方や髪が細い方に起きてしまいやすい。透明感のあるアッシュ系(ブルー系)を入れたけど、色相環で見たときにブルーまで行ききらずに緑っぽいところで止まってしまったみたいなイメージ。(画像:例3)
緑っぽくなってしまうのが不安な髪には、さらに緑を打ち消してくれるブラウン系を少し入れると綺麗に色が入りやすい。
アッシュ系にしたいからと言って、グレーすぎ、寒色すぎなセルフカラーを選ばないように気をつけることが大切!

・段階的なカラーチェンジを検討
大幅な色変更は1回では難しいことを理解する。
暗い色の画用紙に文字を書いても分かりづらいように、暗い髪にはどの色も発色しにくい。しっかりとそのカラー剤の色味を発色させたい場合は、ベースの明るさが重要!
一度で仕上げる気持ちではなく、まずは明るくするカラー剤でベースを明るくしてから、色味を入れるとよく発色してくれる。

部分的に暗くなる
対策:ダメージ状態や履歴を把握し、時間差で塗布
・ハイダメージ部分は、髪の中身がカスカスな分、色が一気に入りやすいことがある。
ダメージ部分とそうでない部分を区別し、ダメージが少ない部分を先に塗って10分ほど置き、ハイダメージ部分を最後に塗布すると均一になりやすい。特にチリチリゴワゴワ毛はこの現象が起きやすいので注意。
・縮毛矯正やデジタルパーマをしている部分も暗くなりやすい。
縮毛やデジパは薬剤の力だけでなく、熱の力も利用するため、髪の主成分のたんぱく質が固くなってしまう“熱変性”が起きる。(じゅるじゅる生卵を加熱すると固まって卵焼きになるみたいなイメージ)
その熱変性を起こしている部分はカラーが暗く入ってしまいやすいため、縮毛をまだかけていない上の方は普通に染まったけど、縮毛履歴の部分は暗くなってしまうということが起きてしまう。
このパターンも熱変性部分とそうでない部分で時間差塗りがおすすめ。
・1度でも黒染めをした部分は、毛髪内部に暗い色味が残留してしまうため明るくなりにくい。
そのため明るいトーンのセルフカラー剤を使ったとき、黒染め部分だけ明るくならず暗く残ってしまったりする。

セルフカラーを成功させるための注意点チャート
少し難しいことを語ってしまいましたが、とにかくここを気をつけて!なポイントをまとめました。
※1色のセルフカラーで染める際の注意点
現状より、暗くしたいとき・明るくしたいときで注意点が違うので、希望に合わせてチェックしてみてください。
暗くしたいとき

明るくしたいとき

色持ちを良くするためのポイント
♦ カラー後1週間は洗髪頻度を控えめに
カラーが定着するには最低48時間かかるため、カラー後2日間は特にシャンプーの頻度を少なくすると、カラーがしっかり定着してくれて色落ちしにくい。
♦ 紫外線対策を行う
日焼けによるダメージで色が抜けやすくなってしまう。
♦ サロン専売シャンプーをつかう
市販のシャンプーは強い洗浄成分が入ってしまっているため、必要な皮脂や髪の水分まで落としてしまったり、せっかく中に入ったカラー色素まで落ちてしまいやすい。
こんな時は美容室へ
セルフカラーでも染められるけど、なかなか難しいパターンも多々あり。
特に以下のようなケースでは、美容室での施術をおすすめです。
- 大幅な色変更
黒髪から明るいカラー、明るい髪から暗いカラーにしたいとき - ブリーチを必要とするカラー
パステル系やビビッドなカラーにしたいとき 。
お金が勿体ないという理由でブリーチを自分でしてくるお客様がたまにいらっしゃいますが、カラーはベースの綺麗さが大事なので、安易に自分でやらない方が確実に綺麗に染まります(>_<) - 白髪の多い方
細かいところまで丁寧に塗らないと余計白髪が目立ってしまうことに、、 - 過度なダメージヘア
縮毛矯正やブリーチを繰り返している髪 - 特殊な技法
グラデーション、ハイライトなど
まとめ
セルフカラーは手軽で経済的な反面、技術や知識が必要な部分もあります。
失敗を避けるためには、現状の把握と正しい知識がとても重要です。
♦ セルフカラー成功の3つのポイント ♦
- 髪の状態を正しく把握する
- 髪の状態にあった商品選択と塗布手順
- 無理をせず、難しいカラーチェンジは美容室に相談
忙しい日常の中でも、ちょっとしたコツを知るだけで、セルフカラーでも満足のいく仕上がりに近づけます。ただし、髪は一度ダメージを受けると元に戻すのが困難なので、不安な場合は美容室に相談するのが絶対に良いです(>_<)
是非この記事を参考に素敵なカラーライフをお楽しみください♪
※この記事は一般的な情報提供を目的としており、個人の髪質や状態による結果を保証するものではありません。心配な場合は専門家にご相談することをおすすめします。